典型的なインフレータブル構造は,風船状に形成した膜面にガスで内圧をかけて膨張させて所望の形状とし,膜面を硬化させることにより構造を成すものである. インフレータブル構造は,宇宙構造への要求項目,(1)高い収納効率,(2)軽量かつ低コスト,(3)高信頼性かつ短期間での展開,などを達成できる有望な構造様式と考えられる. そのため,将来の宇宙構造物への利用が期待されている. しかし,(a) 安定に展開を進展させる展開技術,(b) 所望の形状精度を達成する形成技術,(c) 規定状態で必要な強度を達成する硬化技術,などの未解決な技術課題がある. そこで,課題(a)を解決する棒状の構造について検討し,インフレータブル・チューブの折畳み方法として芒星折(ボウセイオリ)を開発した. 既存の折畳み方法と比較して,直線状に安定に展開することを実験的に実証している. 実証の際,薄い膜面を使用するので地上実験では重力の影響を受けやすく,宇宙環境での展開を模擬するのは難しい. そこで航空機の放物線飛行による微小重力環境での展開実験を行うことによって,宇宙空間を模擬した展開実験ができた. さらに,展開実験での膜面の挙動を評価する画像計測手法,数値シミュレーションによる解析手法を検討すると共に,チューブ形状に限らず様々な形状の膜面を折畳むための設計方法を研究開発している.